自己満足の殿堂

NO FALCONS, NO LIFE

【通信簿2021-22】今シーズンのファルコンズを振り返る

 2021-22のレギュラーシーズンも終了ということで,今回はファルコンズの選手の通信簿をつけていきたい思います.昨年も同じような振り返り記事を書いていますので,昨年と比べて見たい方はこちらからどうぞ.

majoranafalcon.hatenablog.com

 評価はポジションごとに加え,スターター級の選手は個人評価も入れています.ポジションの評価に関してはスタッツメインかつ控えの選手の評価も考慮するので,個人の評価の平均となっていないことに注意してください.

 評価方法は単純に5点刻み100点満点で採点し,90点以上でS,80点以上でA,70点以上でB,60点以上はCでここまでが合格ライン,59点以下は不合格でFとします.点数の横の括弧は昨年との比較.採点はあくまで"NFLの平均"を基準として行なっていますので,例えファルコンズの中でマシな方でも点数は低いことが多々あります.

 スタッツはPro Football reference,ESPNからとってきています.D#に関しては,両サイトで若干数値の違いがあるので,ESPN参照のシーズン成績を載せています.手入力なので間違いがあるかもしれませんがご了承ください.

 

オフェンス

QB

40点 F (-10)

#2 マット・ライアン 40点 F (-10) 

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 細かい評価等は後日,別記事で投稿予定です.

 MVP獲得の16年以降ではワーストのスタッツでした.ファルコンズファンでない方にとっては,ライアンはオワコンと思う方は多いでしょうが,

vsカウボーイズまで:4勝4敗 YPG269Yds 成功率69.4% 15TD 6INT Rate 98.1

vsカウボーイズ以降:3勝6敗 YPG 201Yds 成功率64.1% 5TD 6INT Rate 81.4

と前半は割と良い成績でした.対戦相手依存の部分ももちろんありますが,後半は低迷しているジャガースやライオンズ相手でもスタッツが伸びませんでした.特にTDパスが20というのは17年と並んでキャリア2番目に悪い数字です.

 実は昨年も後半戦のスタッツが悪く,これは明確なマイナスポイントです.しかし,O#のコマ不足とOLの脆弱さを感じる場面も後半の方が圧倒的に多かったのも事実なのでこれはむしろチームのとしての課題でしょう.

 点数に関しては同格以下に辛勝,格上にボロ負けでスケジュール強度通りの成績だと思うのでこの評価.超絶ライアン贔屓の私とはいえ平均的なスタッツ&負け越しで合格点は難しいですね.

 

WR

40点 F (-40) 

#18 カルビン・リドリー 履修取り消し 

#14 ラッセル・ゲイジ 70点 B (-10) 

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 昨年から最も評価を下げたのがこのポジション.平均獲得Ydsは272.7(5位)→218.4(16位)と大きく低迷.

 昨シーズンまでのエースWRフリオ・ジョーンズに代わるエースとして期待されていた#18リドリーは成績が伸びず,さらにシーズン中盤からメンタルの不調でフットボールから離れると発表.

 その結果,純粋なWRとして計算できるプレーヤーが#14ゲイジだけとなり,シーズン後半のパスO#はほぼ機能停止状態に.そのゲイジは昨シーズンとほぼ変わらず,2番手以上1番手未満というスタッツ.

 #17ザキーエスは昨年より成績は伸びましたが,試合平均では大差なし.ボールセキュリティに不安を見せる場面が目立ちました.

 #4シャープはレシーブ力はまずまずなものの,輝くシチュエーションが限定的すぎて使い辛かった印象です.

 WR1の#18リドリーはトレードの噂が立っていますし,WR2の#14ゲイジは今オフFAで引き留めは難しいでしょう.フリオのトレードで獲得した2巡指名権をWRに使って欲しいところです.

 

RB

40点 F (±0)

#28 マイク・デービス 45点 F

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 O#の大きな課題であるランですが,昨シーズンと比較してラン獲得Ydsは95.8(27位)→85.4(31位),平均では3.7Yds(31位)→3.7Yds(30位) とまさかの劣化.

 RB1は移籍1年目の#28マイク・デービスでしたが,期待よりやや下の出来.後半はスナップ%も減っていました.パワーランが売りですが,それが活きた場面よりは,ファンブルロストの方が印象が強いです.レシービングは259Ydsとまずまず.

 それ以外では19年の5巡のパワーランナー#30オリソンが存在感を見せる試合がありました.まだレギュラーとして期待できるレベルには達していないですが,層の薄いファルコンズにとっては貴重な存在になり得ます.

 ドラフト上位ではなく,FAでベテランを持ってくるというスタイルが2年連続続いていますが結果は出ていません.一方,今年の上位指名権をつぎ込む余裕もありません.現状のメンツの大きなステップアップは望み薄なのでリーグ最底辺のランO#とはもう少し長くお付き合いすることになりそうな予感.

 

CP

85点

#84 コーダレル・パターソン 85点 A

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 2021ファルコンズの最大のサプライズ.ランはチーム1位,レシービングは3位,TDは両部門でトップと大車輪の活躍.30歳にしてキャリアベストのシーズンとなりました.優れたボディバランスと球際の強さは見ていて安心感があり,何よりスコアに絡むという点で圧倒的な貢献度でした.

 プロボウルには選出されませんでしたが,PFFからは高い評価を得ており,Breakout Player of the yearに選出.

 しかし,シーズン終盤のRBデービスのスナップ減少に伴いRB1としてのスナップが増えたことでレシーブ面での貢献が減少.前半8試合のレシービング成績は459Yds,5TDだったのに対して後半8試合は89Yds,0TDです.これはQBのところで述べたパスO#のコマ不足の大きな要因になっています.

 一応CPもFAですが,ここを引き止めるか否かが非常に難しい.今年は彼ありきのO#だったのは間違いありませんが,来年はサラリーと年齢的な懸念が付き纏ってしまいます.CPのような所謂"Offensive weapon"と呼ばれる選手はどのチームにもいるわけではないので悩ましいです.格安で延長できればベストなんだけどなあ()

 

TE

75点 B (+20)

#8 カイル・ピッツ(R) 80点 A

#81 ヘイデン・ハースト 50点 F (-15) 

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 ドラ1#8ピッツはターゲット,レシーブ数,レシービングYdsでチームトップルーキーTEとしては史上2年目の1,000Ydsレシーブ,またルーキーのレシービングYdsのフランチャイズ記録を達成するなど期待に違わぬ成績.特に,試合を動かすようなビッグプレーに絡むことが多く,ゲームチェンジャーのポテンシャルを発揮.来年以降も故障なく成長して,ファンがスタジアムに再び行きたくなるようなスーパースターになって欲しい.唯一の課題はTDの少なさ.

 一方,昨年のTE1#81ハーストは成績を大きく落とす形に.今オフFAで退団濃厚であることを考えると致し方なし.また,TE3#85スミスは引退を表明.

 ピッツというスーパースター候補はいるものの,それ以降の選手が足りていない状況です.今年は#43ヘッシという選手が後半顔を出す場面がありましたが,「ピッツ+ヘッシ+ブロッキング専任の誰か」という形は流石に不安が残ります.

 

OL

30点 F (-30)

#70 LT ジェイク・マシューズ 65点 C (-5)

#77 LG ジェイレン・メイフィールド(R) 25点 F 

#61 C マット・ヘネシー 70点 B

#63 RG クリス・リンドストロム 85点 (+5)

#76 RT カレブ・マクゲイリー 30点 F (-30)

 昨年からCとRGが変更.昨シーズンと比較してPass Block Win Rateは57%(16位)→54%(26位),Run Block Win Rateは69%(28位)→67%(29位)とランパスともに劣化.PFFのOLランキングでは27位.また,プレッシャー%は28.0%で30位,QBヒットは最下位,被サック数は22位と全てが低水準です. 

 一応RG#63リンドストロム,C#61ヘネシーPFFではポジション内トップ10に入っており,特にリンドストロムに関しては今シーズンNFLのGで唯一の被サック0.しかし,ユニットとしては今シーズンの大戦犯で間違い無いでしょう.特に「3巡LG#77メイフィールドがびっくりするほどバスト」「19年の1巡RT#76マクゲイリーが成長しない」の2つが大きな誤算でした.

 ここ数年のOLの投資失敗がそのままチームの低迷と直結していると言っても過言ではありません.上位指名&若手ということで総取っ替えもし辛いのは事実ですが,ドラフト中位でRT,LGは補強して欲しい.

 

ディフェンス

DT

40点 F (-5)

#97 グレイディ・ジャレット70点 B (-10)

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 昨年は#97ジャレット&#96デヴィスンがスターターを張っていましたが,今年はジャレットとその他大勢という状態に.また,昨年プレー機会の多かった#50コミンスキーはヘルシースクラッチで実質的な戦力外.

 ジャレットも昨年と比べて成績は落ちましたが,pass rush win rateは高く,そこまで心配することはなさそう.ジャレットはダブルチームでブロックされるケースが多いので,もう1枚優秀なパスラッシャーがいると心強いです.現状は誰もいません.

 

 昨年ドラ2で指名したデヴィッドソンはブレイディからPick6を決める場面がありましたが,それ以外はパッとせず.DLの層が薄い分,ドラフト上位指名の彼にはもう少し結果を出して欲しいですね.

 

DE

5点 F (-25)

#6 ダンテ・ファウラーJr. 10点 F (-30)

#55 スティーブン・ミーンズ 5点 F (-30)

#92 アデ・オグンデジ(R) 40点 F

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  サック数18はリーグ最下位(31位は29,リーグ1位は55),プレッシャー%も16.9%でリーグ最下位(31位は18.1%,リーグ1位は30.8%)と私が見てきた中で最悪レベルのパスラッシュでした.ちなみにPFFでの評価はダントツでワースト

 #6ファウラーはサック数チームトップではあるものの,ドン引きするくらいのFAバスト.隔年で活躍しているというジンクスから今年は淡い期待を寄せていましたが,それはただの幻想でした.

 #55ミーンズに関してはスタッツを見ても分かる通り本当に何もしていません.これが主力という時点でもう終わってる.

 ルーキーの#92オグンデジは決して良い成績というわけではありませんが,現状のパスラッシャーでは貴重な人材です.来年のステップアップに期待.

 

LB

60点 C (-20)

#54 フォイエ・オルオクン 80点 A (+5)

#45 ディオン・ジョーンズ 40点 F (-35)

#3 マイカル・ウォーカー 65点 C(-5)

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 D#の中では比較的マシなユニット.

 #54オルオクンはNFL歴代7位の192タックルで初のタイトル獲得.週間MVPも1度受賞しており,昨年に引き続き飛躍の年になりました.しかし,今オフにFA.残って欲しいですが,そんな余裕はないんだろうなあ()

 #45ジョーンズはシーズン中盤から急激に劣化.元々スピードを生かしたアスレティックなLBでしたが,今年はタックルが軽く,1対1で躱される場面が多数ありました.ディーボは来年も在籍しているはずなので復活しないとマジでヤバイ.

 #3ウォーカーは先発2人がほぼ固定のため,スナップは多くありませんでしたが,今年まパスカバーメインで悪くない内容でした.特にパンサーズ戦のPick6は見事.来年オルオクンに変わってスターターの座を掴めるか注目です.

 

CB

65点 B (+30)

#24 A.J. テレル 90点 S (+30)

#22 ファビアン・モロー 55点 F 

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 晩年リーグワースト3には入っていたパスD#も昨年のドラ1#24テレルの成長によりリーグ平均より少し下まで改善.ただ,あくまで全体としては平均以下です.パス成功率,TD数,レーティングは下位なので改善の余地あり.ただ,パスラッシュが改善されればこの傾向が大きく変わる可能性も十分あると思います.

 #24テレルは今年のD#MVP.PFFグレードはCBで2位で同メディアのオールプロに選出.またAP-All proの2ndチームにも選出.派手さは無いですが,Terrell Islandを領域展開し相手WRを封殺するシャットダウン型CBへと成長しました.

 逆サイドの#22モローは昨年のオリバーやシェフィールドより少し上くらいの成績.オフにFA.

 今年の4巡#34ホールは後半にスナップ数が増えましたが,なかなか厳しいルーキーイヤーでした.

 オフはモロー&オリバーが抜けて2番手以降がかなり厳しい状況になります.シェフィールドはS要員になってしまいましたし,CB2がホールというのは心許ないです.もう少し層を厚くしたいですが,全ポジションを見ると相対的に優先順位は低めか.

 

S

60点 C (-5)

#23 エリック・ハリス 60点 C (±0) 

#21 デュロン・ハーモン 60点 C (±0) 

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 昨年からスターター刷新となり,開幕前は少し不安がありましたが,思いの外なんとかなったなという印象です.

 NFL標準と比較すると決して良いというわけではありませんが,#23ハリスは終盤にIR入りするまでは割と存在感を見せていましたし,#21ハーモンもINTなどビッグプレーで見せ場は作れていたと思います.この2人は単年契約ですし,長期間のスターターというよりは若手が育つまでのつなぎの役割も大きいと考えています.

 ではその若手はどうなのかというと今年のドラ2#27グラントはシーズン中盤からスナップは増えたもののパッとした活躍はありませんでした.

 一方,2020年4巡#32ホーキンスは素晴らしいパフォーマンス(NYJ,DET)を見せるゲームもあり,来年以降も割と期待できそうです.あとは安定感が欲しい.

 

スペシャルチーム

K

80点 A(+5)(ヤンウェイ・クー)

 FGは27/29,PATは30/30と昨年のパフォーマンスがまぐれでは無いことを証明.今年は試合を決めるFGも3本決めており,その信頼は盤石なものに.クーもFAですが,彼の残留はマスト.

 

P

80点 A(トーマス・モーステッド)

 開幕スターターのナイザレクが酷すぎて今年もパント受難かと思いましたが,11月に契約した元セインツのモーステッドが大当たり.12月の月間MVPも獲得し,思わぬ形で正パンターゲット.彼もオフに契約延長したいところ.

 

まとめ

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 主要選手のPFFグレードは以下のツイートにまとめられています.

 個人的な2021シーズンのMVPは......

O#:コーダレル・パターソン

D#:A. J. テレル

です!これは文句なし.

 

 今シーズンは本当に7勝もしたか?と思うくらい(特に後半が)ハードなシーズンでした.攻守のラインという一番重要な部分が壊滅しているという致命的な弱みはあるものの,テレルやピッツといった若手のスターも台頭してきています.

 新HCのAスミスはゲームマネージャーとしては怪しい部分が多かったと思います.特に,勝ちゲームにおいて相手の勝ち筋を残してしまうことが多く,後半,特に4Qの保守的なプレーコールは大きな課題です.一方でチームづくりの面に関しては,前フロントの尻拭いをしている状態なのでまだ評価はできませんが,手持ちのカードで上手くやりくりするというよりは,ある程度タレントが揃った状態で輝くタイプなのかなという印象です.来年は絶対プレーオフとまでは言わないので,平均レベルのチームにはなんとか仕上げて欲しいです.

 オフはゲイジ,オルオクン,パターソンなど今シーズンの主力がFAとなり,キャップスペースも少ないためどのようにチームを立て直すのかGMフォンテノの手腕に本当にかかっています.ドラフトもほぼ全てのポジションがニーズであり,その全てを補強するのはまず不可能なので,どのように優先順位をつけていくのかも見ものです.

 

 ということで2021通信簿はこれで終わりです.2021-22シーズンの定期更新の最終回として「ライアンを頑張ってポジる記事」を投稿予定なので最後までお付き合いいただけると幸いです.