自己満足の殿堂

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【MattyIce通信2020】シーズンまとめ

 今回は2020シーズンのマット・ライアンを振り返っていきます.

 去年の振り返りはこちらからどうぞ.

majoranafalcon.hatenablog.com

 

2020シーズンのスタッツ

主要スタッツ

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*()はリーグ内順位(INTは多い方が順位高)

 試合数は去年より1試合多いですが,成功数とヤードは上位の一方でTDやレーティングは凡というスタッツの傾向はほぼ変わりませんでした.しかし,今年はQBのスタッツ自体が全体的に向上しているため,数字自体は大きな変化はないものの,リーグ内順位は落ちています.今年に関してはフリオが9試合しか出場していないこともありますが,去年より成績は若干悪化しているといった感じでしょうか.しかし,これはライアン自身の調子もありますが,O#自体に変化がない,即ちランO#,パスプロテクションといった去年からの課題が改善されなかったと見ることもできます.

 

 シーズン単位では安定感があるかもしれないが,試合単位でのパフォーマンスを見ると,過去2年かなり波があります.

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2019-20年の試合毎のレーティング

 区画毎のレーティングは下のようになっています.

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全体的にシーズン見てきた中でのイメージとのギャップは少ないです.まず,10-20Ydsの左と中央,20+Ydsの右側のレーティングが平均よりだいぶ高いのは恐らくリドリーの得意なルートと相関がありそうです.一番上の区画のカバー範囲が広いので一概には言えませんが,ほとんど成功した印象のないディープパスは左側と中央で平均以下です.また,スクリメージラインより手前のパスが昨シーズンと比較してもだいぶ悪いのはYAC(Yards After Catch)が出ないことが影響してそうです.実際,今年はYAC/Comp(4.1)がリーグ31位,Air Yards(2,913)が1位,YAC(1,413)で最下位と顕著です.初めはフリオの不在が原因かなと思ったのですが,昨年もYAC/Comp(4.0)が32位で最下位とO#全体の問題のようです.

 

 また,今シーズンのファルコンズO#の大きな課題としてレッドゾーンO#がありました.レッドゾーンTD%は53.45%で26位,1位のパッカーズとは25%近い差があります.ただ,実は去年の51.67%(25位)とほぼ変わっていないことからライアンの調子が特別悪かったというよりそもそもコエッターのプレーコールに問題があると思います.スタッツを見ると,レッドゾーン内でのアテンプトは多いですが成功率がかなり低いです.さらに,Week12の時点ではレッドゾーン内での被サックがリーグトップでした.

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 QBを何で評価するかというのは人によって意見が分かれるところだと思いますが,一応参考程度にTotal QBRとPFF overallグレードを見ておきます.まず,ESPNが提供しているTotal QBRはパス,ラン,ターンオーバー,サックなどのQBが関与するプレーの試合への貢献度をシチュエーションを踏まえた上でefficiencyとして評価した指標(という認識)です.詳しい説明はwikiをご覧ください.指標としての賛否はあるようですが,私としてはフリーで手に入るという点が非常に有難いです.平均は50前後で75前後でプロボウル級という基準だそうですが,今年のライアンは67.0でリーグ16位でした(昨年は59.6で14位).先ほども述べた通り,今年は全体的にQBのスタッツが優れているようです.ちなみに,MVPをとった16年(83.3)と同様の成績ながら7勝に終わった18年(65.7)では,ガベージタイムに補正がかかる分差が出るというわけですね. 

 

 PFFグレードも試合背景を考慮した上でプレーを加点減点していく方式の指標ということですが,フリーではoverall グレードのみアクセス可能です.今年は83.1で11位/40人ということで,昨年の76.0(16位/37人)からは良くなっているようです.

 

 その他Twitterで見かけた気になる数字をまとめます. 

 

 

 

 

 

2020シーズンに達成した主な個人記録

  • Week1 通算パス獲得ヤードがジョン・エルウェイ(51,475Yds)を抜いて史上9位に

次の目標はイーライ・マニングの57,023Ydsです.来シーズン中には到達できるでしょう.

  • Week6 4年ぶりの週間MVP

 開幕5連敗→GM&HC解雇,さらにライアン絶不調という中で最高のパフォーマンス.この頃は健在だったフリオとのホットラインはやはり最高でした.

  • Week8 史上5人目のパス50,000+Yds,ラン1,000+Yds,ラッシングTD10+
  • Week9 キャリア13シーズンでのパス成功数がペイトン・マニング(4,682)を抜いて歴代1位
  • Week14 キャリア13シーズンでのパス獲得ヤードがペイトン・マニング(54,622)を抜いて歴代1位
  • Week15 通算TDパスがフラン・ターケントン(342)を抜いて歴代10位に
  • Week15 10年連続シーズンパス4,000Yds

NFL記録はブリーズの12シーズン.怪我がなければかなり現実的.

  • Week17 キャリア13年でのパスTDがブレット・ファーブ(346)を抜いて歴代4位に
  • Week17 通算7度目のシーズンパス4,500Yds

NFL記録はブリーズの通算8度.この記録は結構凄い.

 

 

ライアンのファルコンズでの未来は?

 上では,客観的なスタッツを中心に述べてきましたが,ここでは実際のところどういう印象だったかという完全に主観でのお話です.

 

 まず,平均より上くらいのスタッツに関しては,それ自体を問題視する必要はそこまでないと思っています(特にレーティングなどに関してはパスに頼らざるを得ない状況になるとアテンプトが増えるため,数値が伸びにくい).むしろ今シーズンは,というより今シーズンもリーグワーストのランO#,平均以下のパスプロ,絶対的エースWR不在の中でO#がなんとか形になったのはライアンの"パサー"としての能力の高さのおかげだと思っています.ボールを持ちすぎてサックを受ける場面が多かったのは良くなかった点ですが,同時にプレーが崩れたときのアウトサイドポケットからのパスやスクランブルの判断は良かったと思います.

 

 恐らく,ここまでは多くのファルコンズファンが同じような意見を持っている思っています.問題はここからで,4勝しかできなかった原因にライアンはどれだけのウェイトを占めているかという点.ここに関しては,チームがどの方向性で進んで欲しいかでかなり意見が分かれると思います.実際,ドラフト4位指名権というQB指名には絶好のポジションにいる,ファルコンズのQB以外のニーズで4位指名にふさわしい選手の不在というのもこの問題を難しくしている原因の一つです.超絶ライアン贔屓の私としては,勿論ライアンのクラッチ次第では勝てたゲームはあるが,それ以前に改善するところがあるという意見です.まずは,D#とランをリーグ平均レベルまで引き上げるところから初めて,それでも勝てないならライアンを変えるべきだと考えています.

 サラリーの関係で,来年のスターターはライアンだと思いますが,それをライアンで勝ちに行くシーズンにするのか,QB交代に備えるためのシーズンにするのかはドラフトで明らかになるでしょう.

 

新HC決定

 ライアンの将来にとって一番重要なのが来季の首脳陣.レギュラーシーズン終了後から様々なコーチとのインタビューが行われてきましたが,1月16日にHCがついに決定.

 来年からファルコンズの指揮を取るのは今年タイタンズのOCを努めたアーサー・スミスとなりました!

実はダン・クイン解任後,アーサー・スミスとかやってくれないかなあと密かに思っていたのでまさかという感じです.理由は非常にシンプル,レッドゾーンO#の強さです.タイタンズでOCを務めた2年間で19年はレッドゾーンTD%が77.36%でリーグ1位,20年は74.24%で2位と素晴らしい数字.さらにこの2年間でのO#のTD数は(プレーオフ含めて)120でリーグ1位.また,スミスの下でRBデリク・ヘンリー,QBライアン・タネヒル,WR A.J.ブラウン,コーリー・デービスらがキャリアイヤーを送りました.

私がスミスのO#に期待するのは安定したランと効率的なパスそして高いTD%.RB1はドラフトで上位指名するとして,優秀なパサーと素晴らしいレシーバーはすでに揃っています.16年とまでは言わずともファンとなるきっかけとなったハイパーO#の復活に期待したいです.頼むぞ!!!

 

 そして,D#にも朗報が.ベテランDCのディーン・ピーズがスミス体制に何らかの形で関わる可能性があるとのこと.ピーズはペイトリオッツ時代にはLBコートとして,レイブンズ時代にはDCとしてスーパーボウル制覇に貢献.18-19シーズンの2年間はタイタンズでDCを務めましたが,昨シーズン終了時点で引退していたようです.

ファルコンズD#はドラフトでしか補強の機会がない分,現状いる選手のステップアップが不可欠です.その中で,実績のあるコーチを呼ぶことができれば願ったり叶ったりです.

 

 そして,GMに関してですが,セインツの人事VP/アシスタントGMテリー・フォンテノになりそうとのこと.セインツのシーズンが終了するまではな契約はできないとのことだったので,もうすぐ発表があると思います.ただ,決まること自体は嬉しいのですが,それによってセインツが複数年にわたって補填ピックを獲得するのは解せません.

 

2021シーズンへ向けて

 GM&HC探しも一段落しそうということで,ここからの関心事はFAとドラフトになります.前者に関しては補強というより誰を引き止めるのかという話が中心です.後者は何より全体4位の使い道でライアンの将来がほぼ決まると言っても過言ではないので,落ち着かない日々はまだしばらく続きそうですw チーム状況は良くありませんが,今は上がり目しかないので前向きにオフを楽しめたらなと思っています.

 

 という感じで2020シーズンの定期更新はこれで終了となります.大して内容もなく拙い文章の記事ばかりだとは思いますが,ここまで読んでいただき本当にありがとうございました.来年は忙しくなるので,記事のボリュームは落ちると思いますが,できる限り毎週更新するつもりなのでまたよろしくお願いします.